【百済神州】4-6月期EPSはマイナス5.23ドル―市場予想下回る

2021年12月4日

がん治療薬を主力とする百済神州(ベイジーン)(06160.HKM)が2021年8月4日に公表した4-6月期(2021年第2四半期)決算によると、1株あたり利益(EPS)は-5.23ドルとなり、Seeking Alphaのアナリスト予想(-3.99ドル、10社)を下回った。売上高が1.5億ドルと市場予想(1.75億ドル)を17%下回ったことなどが響いた。

製品売上高は前年同期比2.1倍の1.38億ドルだった。非扁平上皮非小細胞肺がんなどの治療薬である抗PD-1抗体治療薬<チスレリズマブ tislelizumab>、リンパ腫治療薬(BTK阻害剤)<ザヌブルチニブ zanubrutinib>などのグローバルな販売は伸びたが、米製薬大手ブリストル・マイヤーズスクイブ製品の中国でのライセンス売上高が減少した。費用(SG&A)は前年同期比87%増の2.32億ドルとなり、世界的な組織拡充を目指した人員増加と外部経費の増加が響いた。

同四半期決算を受けた8月19日時点の Seeking Alphaのアナリスト予想は、2021年12月期EPSが-11.90ドル(10社)、2022年12月期EPSが‐10.59ドル(11社)

中国医療医薬情報「Quan」による分析

注力する2製品の好ニュースが確認できた点はポジティブ。「チスレリズマブ」は、転移性鼻咽頭がん(NPC)の適用を想定する化学療法との併用第3相臨床試験「RATIONALE 309」で、中間解析がベイジーン側の目標を満たしたと発表。「ザヌブルチニブ」についても、少なくとも1度は抗CD20ベースの治療を受けた患者に対する限界ゾーンリンパ腫(MZL)に関し、米FDAから今秋にも承認を取得できる見通しで、着々と適用拡大を進めている。

香港市場における同社株(06160HK)は2021年1月の238.2を直近高値として、8月5日の第2四半期決算公表以降、200から160へ低落しているものの、注力薬の臨床試験等の進展が確認できれば株価の再評価機運が高まろう。向こう6カ月から1年6カ月は様子見を推奨する。

ベイジーンはいまだに赤字を脱していないものの、中国医薬業界では最も研究費を注入し、新製品パイプライン豊富な会社として、資本市場から注目されている。

チスレリズマブ (tislelizumab)

チスレリズマブ(BGB-A317)は、マクロファージ上のFcγRへの結合を最小限に抑えるように特別に設計されたヒト化IgG4抗PD-1モノクローナル抗体です。 前臨床研究では、マクロファージ上のFcγRへの結合は、抗体依存性マクロファージを介したTエフェクター細胞の死滅の活性化を通じてPD-1抗体の抗腫瘍活性を損なうことが示されています。tislelizumabは、BeiGeneの免疫腫瘍学生物学的プログラムから製造された最初の薬剤候補であり、免疫腫瘍学の組み合わせプラットフォームの重要な要素として役立つ可能性があると考えています。tislelizumabは、単剤療法として、また他の療法と組み合わせて、固形腫瘍と血液癌の両方の幅広い治療法として開発されています。

ザヌブルチニブ (zanubrutinib)

ザヌブルチニブ(BGB-3111)は、ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)の小分子阻害剤で、BCR(B細胞受容体)によって誘導されるBTKの活性化とその下流のシグナル伝達をブロックし、B細胞と呼ばれる特定の悪性白血球の増殖阻害と細胞死を引き起こします。少なくとも1つの他の化学療法薬ですでに治療されている成人のマントル細胞リンパ腫(MCL;免疫系の細胞で始まる急速に成長する癌)の治療に使用されます。 zanubrutinibは、 癌細胞に増殖するように信号を送る異常なタンパク質の作用をブロックすることによって機能します。 これは、がん細胞の拡散を防ぐのに役立ちます。

<注>「百済神州有限公司」:Beigene
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Posted by Hs