【Quan’s eyes】2021年総括、中国バイオ企業のライセンス導入

2021年、中国の新薬業界、躍進著しいものがあり、それは、INDの申請数、上市承認取得件数等に表れていますが、同時に、中国企業が貪欲に新薬プロジェクトをライセンス導入していることです。この「貪欲」さは、自社では研究せずに他社からライセンス導入した新薬の臨床開発を行い販売に繋げていくビジネスモデルを取っているベンチャー企業に対して巨額の投資マネーが入っていることにも起因しています。

1.適応症

2021年は、過去数年の趨勢と同様に、下記の通り、癌(肿瘤)が半分近くを占めています。

2. ライセンス導入に貪欲な中国企業リスト

2021年のトップは、再鼎医薬(Zai Lab)で8件ものライセンス導入を成立させています。続いて、信達生物製薬(Innovent)/6件, 2019年設立の聯拓生物(LianBio)/5件、次いで、翰森医薬(Hansoh)、石薬集団(CSPC)、恒瑞医薬(Hengrui)、百済神州(Beigene)、先声薬業(Simcere)、斉魯(Qilu)/各4件。

3.導入元/ライセンサー

中国企業が新薬のライセンス導入をする相手先(導入元/ライセンサー)は、主として外国企業でした。ところが、近年の趨勢として、中国企業からの導入件数も増えてきており、全体の35%(件数ベース)を占めています。但し、ライセンス料の金額は、海外企業に支払われている額に比較すると低いと言えます。

4.近年の特徴

・中国企業がライセンス導入する新薬について、事業化・販売権を取得するテリトリーですが、従来は、中国本土に限定されていましたが、近年の趨勢として、アジア全域、更には、グローバルの権利を取得する事例が増えて来ています。

・モダリティーとしては、核酸(RNAi, mRNA)の件数が増えてきており、これは、コロナ・ワクチンでビオンテック(独)、モデルナ(米)の技術が巻き起こしたブームによって増幅されており、関連技術を取り扱う中国企業に対して、巨額の投資マネーが入っています。2021年には、百済神州(Beigene)、翰森医薬(Hansoh)、斉魯(Qilu)等がライセンス導入を成立させています。

・更には、ADC(抗体薬物複合体)のライセンス導入も活況を帯びており、信達生物製薬(Innovent·)、基石薬業(Cstone), 斉魯(Qilu)等がライセンス導入を成立させています。

5.日本の出番

中国企業は従来、後期の臨床段階の新薬のライセンス導入に傾注していました。然しながら、近年は、イノベーション・レベルの高いプロジェクトであれば、早期の研究段階でのライセンス導入も活況を呈してきています。低分子化合物に限らず、新しいモダリティーの新薬について、特に欧米ベンチャー企業からの導入が目立っています。その意味で、日本企業はこれから参入していくことになると期待されています。

Quan's eyes

Posted by kawamoto